このセクションではマッハ数0.95でのNACA012翼の周りの非粘性圧縮流体の層流を扱います。 入力デッキ(大規模流体例テストパッケージ内のnaca012_mach0.95_finefine.inpという名前のファイル)は以下のようになります:
*NODE, NSET=Nall 1,7.600000000000e-04,-1.412800000000e-01,0.000000000000e+00 ... *ELEMENT, TYPE=F3D8, ELSET=Eall 1, 1, 34101, 39113, 34104, 34109, 34113,140301, 47554 ... MATERIAL,NAME=AIR *CONDUCTIVITY 5.e-4 *FLUID CONSTANTS 1.,1.e-20,293. *SPECIFIC GAS CONSTANT 0.285714286d0 *SOLID SECTION,ELSET=Eall,MATERIAL=AIR *PHYSICAL CONSTANTS,ABSOLUTE ZERO=0. *INITIAL CONDITIONS,TYPE=FLUID VELOCITY Nall,1,1.d0 Nall,2,0.d0 Nall,3,0.d0 *INITIAL CONDITIONS,TYPE=PRESSURE Nall,0.79145232 *INITIAL CONDITIONS,TYPE=TEMPERATURE Nall,2.77008310 *VALUES AT INFINITY 2.77008310,1,0.79145232,1.,1. ** *STEP,INCF=100000 *CFD,STEADY STATE,COMPRESSIBLE 1.,1.,,, *BOUNDARYF ** BOUNDARYF based on in 6401, S6, 11,, 2.770083 ... *DFLUX ** DFlux based on airfoil 309, S2, 0.000000e+00 ... *MASS FLOW ** DFlux based on airfoil 309, M2, 0.000000e+00 ... *NODE FILE,FREQUENCYF=5000 MACH,VF,TSF,PSF,TTF *END STEP
節点と要素(8節点のブリック要素。これらは内部的には有限体積セルとして扱われます。領域のメッシュと形状については図32と図33を参照)の定義の後、物性が定義されています。定圧 cp での熱容量は1に規格化され、粘性係数 μ は非常に低い値(10-20)に設定されているので、流れは摩擦なしの状態です。 比気体定数は κ=cp/cv=1.4 です。初期条件はX方向の速度が vx、静圧と静温度の値は密度が ρ=1 かつマッハ数 M=vx/(μL)=0.95 となるように設定されています。ここでLは翼のX方向の長さでちょうど1です。 また流入部には *BOUNDARYF カードで境界条件が設定されています。それ以外の境界条件は翼表面での質量流量ゼロ、Z方向での質量流量ゼロ(流れは2次元流れとしてモデル化されています)、遠方境界部での質量流量ゼロで全て *MASS FLOW カードを使って設定されています。また同じ境界には *DFLUX カードを使って熱流れゼロが設定されています。最後にマッハ数、流速、静温度、静圧、全温度の出力を設定しています。*CFD カードのパラメーターによって流体流れは圧縮性(密度定義は材料カードで要求されたものに従いません)になり、定常状態に到達するまで計算が行われます。 これを設定しない場合には、定常状態判定は行われず、計算は *STEP で設定された繰り返し数に到達するまで続けられます。
計算結果は図34、図35、図36、図37に示す通りです。 計算は75,000回後に中断されていますが、計算を続ければ最大マッハ数はもう少し増加しそうです。全温度はほぼ一定です。 流線に沿った全温度の総変化は以下の式で与えられます:
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右辺の項は粘性の効果(ゼロ)、熱流れ(熱伝導係数が非ゼロなので非ゼロ)、単位質量あたりの熱増加量(ゼロ)、圧力変化(定常状態ではゼロ)、外部体積力の効果(ゼロ)に対応します。