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水の膜で覆われた可燃壁の燃焼

更新:2018/1/18
OpenFOAM 4.x

ケース

$FOAM_TUTORIALS/combustion/fireFoam/les/flameSpreadWaterSuppressionPanel

概要

空気が満たされた領域の床面の一部、領域 inlet(赤色部)からプロパンが流入し燃焼します。燃焼部側の壁(緑色部)は可燃性ですが表面に膜状の水を流して燃えにくくしています。また床、可燃壁以外の面は開放されているものとし、着火から10秒間分の計算を行います。

モデル形状 モデル形状

可燃性の壁、水の膜、空間側は別々に計算し、解をマッピングすることで全体の現象を計算します。

空間側の化学種、プロパン・空気による燃焼反応はディレクトリ constant 内のファイル reactions で以下のように定義されています。また各化学種の性質は同じディレクトリのファイル thermo.compressibleGas で定義されています。

species
(
    O2
    H2O
    C3H8
    CO2
    N2
);
reactions
{
    propaneReaction
    {
        type irreversibleinfiniteReaction;
        reaction     "C3H8 + 5O2 + 18.8N2 = 3CO2 + 4H2O + 18.8N2";
    }
}

これら2つのファイル reactions、thermo.compressibleGas をディレクトリ constant 内のファイル thermophysicalProperties 内で読み込むことで設定が行われます。

またディレクトリ constant 内のファイル pyrolysisZones で可燃壁を、ファイル surfaceFilmProperties で水の薄膜を定義しています。

壁の材質や燃焼反応はディレクトリ constant/pyrolysisRegion 内のファイル reactions で以下のように定義されています。壁の材質(wood)が燃焼し、煤(char)と気体(gas)に変わっていることがわかります。

species
(
    wood
    char
);
gaseousSpecies
(
    gas
);
reactions
{
    charReaction
    {
        type        irreversibleArrheniusSolidReaction;
        reaction    "wood^4.86 = char + gas";
        A           7.83e10;
        Ta          15274.57;
        Tcrit       400;
    }
}

メッシュは以下の通りです。

メッシュ メッシュ
可燃壁側のメッシュ(薄い8層分が可燃壁) 可燃壁側のメッシュ(薄い8層分が可燃壁)

計算結果は以下の通りです。二酸化炭素の分布では描画にボリュームレンダリングを使用しています。

1秒での二酸化炭素の分布(CO2) 1秒での二酸化炭素の分布(CO2)
2秒での二酸化炭素の分布(CO2) 2秒での二酸化炭素の分布(CO2)
3秒での二酸化炭素の分布(CO2) 3秒での二酸化炭素の分布(CO2)
5秒での二酸化炭素の分布(CO2) 5秒での二酸化炭素の分布(CO2)
10秒での二酸化炭素の分布(CO2) 10秒での二酸化炭素の分布(CO2)

可燃壁側の温度分布は以下の通りです。着火と同時に温度が上がりますが、水の薄膜の影響で次第に温度が下がっていく様子がわかります。

1秒での温度分布(T) 1秒での温度分布(T)
2秒での温度分布(T) 2秒での温度分布(T)
3秒での温度分布(T) 3秒での温度分布(T)
5秒での温度分布(T) 5秒での温度分布(T)
10秒での温度分布(T) 10秒での温度分布(T)

また最終時刻での可燃壁側の材料の体積率は以下の通りです。領域中央の燃焼の激しい部分で体積率が減少していることがわかります。

10秒での体積率(wood) 10秒での体積率(wood)

実行コマンド

cp -r $FOAM_TUTORIALS/combustion/fireFoam/les/flameSpreadWaterSuppressionPanel
cd flameSpreadWaterSuppressionPanel

# ベースとなるメッシュを作成 blockMesh

# プロパン流入領域を作成 topoSet
createPatch -overwrite

# 水の膜用のメッシュを押し出しで作成
extrudeToRegionMesh -dict system/extrudeToRegionMeshDictFilm -overwrite

# 可燃壁のメッシュを押し出しで作成
rm log.extrudeToRegionMesh
extrudeToRegionMesh -dict system/extrudeToRegionMeshDictPyr -overwrite

# 水の膜用のメッシュから実際の領域を作成
changeDictionary -region filmRegion -constant
rm log.topoSet
topoSet -region filmRegion
rm log.createPatch
createPatch -region filmRegion -overwrite

cp 0/ph_rgh.orig 0/ph_rgh

fireFoam

paraFoam -touchAll

# 可燃壁、水の膜を読み込む場合は -region オプションを使用
paraFoam
paraFoam -region pyrolysisRegion
paraFoam -region filmRegion

計算時間

4分46.04秒 ※シングル、Inter(R) Core(TM) i7-2600 CPU @ 3.40GHz 3.40GHz