多孔質体領域を持つ曲がり流路(局所時間刻み)

OpenFOAM 4.x

ケース

$FOAM_TUTORIALS/compressible/rhoPimpleFoam/ras/angledDuctLTS

概要

流路中間にフィルターを模した多孔質体がある流れの解析を行います。流体は領域 inlet(青色部の端面)から質量流量 0.1 kg/s で流入し、フィルター(赤色部)を通過して領域 outlet(緑色部の端面)から流出します。

モデル形状 モデル形状

計算手法として局所時間刻み(LTS、ローカルタイムステッピング)を使用します。局所時間刻みは、メッシュサイズに合わせて各メッシュごとに時間刻みを変化させることで高速に計算する手法です。局所時間刻み機能はディレクトリ system 内のファイル fvSchemes で以下のように ddtSchemes として「localEuler」を設定することで有効になります。

ddtSchemes
{
    default         localEuler;
}

多孔質体は Darcy-Forchheimer 則 S_i = -\biggl(\mu D_{ij}+ \frac{1}{2}\rho\left \vert u \right \vert F\biggr) u_i に従い、i 方向の流速 ui (i=x, y, z)に対して流れ反対方向を向いた生成項 Si(圧力損失)がナビエ・ストークス方程式に追加されます。ただしここで μ は粘性係数、ρ は密度です。

多孔質体の特性を決めるパラメーター Dij、F、特性方向、多孔質体を設定する領域は以下の様にファイル constant/fvOptions で指定します。

porosity1
{
	type            explicitPorositySource;
	active          yes;

	explicitPorositySourceCoeffs
	{
		selectionMode   cellZone;
		cellZone        porosity;

		type            DarcyForchheimer;

		DarcyForchheimerCoeffs
		{
			d   (5e7 -1000 -1000);
			f   (0 0 0);

			coordinateSystem
			{
				type    cartesian;
				origin  (0 0 0);
				coordinateRotation
				{
					type    axesRotation;
					e1  (0.70710678 0.70710678 0);
					e2  (0 0 1);
				}
			}
		}
	}
}

乱流モデルには標準 k-ε モデルを使用し、計算は500秒間分だけ行います。

メッシュは以下の通りで、メッシュ数は22000です。

メッシュ メッシュ

乱流エネルギー、乱流消失率を可視化する場合は ParaView 上で「Properties」タブの「k」、「epsilon」にチェックを入れます。また「rDeltaT」にチェックを入れると各メッシュでの時間刻みを確認することができます。

「Properties」タブの「k」、「epsilon」にチェック 「Properties」タブの「k」、「epsilon」にチェック

最終時刻での計算結果は以下の通りです。

流速(U) 流速(U)
圧力(p) 圧力(p)
乱流エネルギー(k) 乱流エネルギー(k)
乱流消失率(epsilon) 乱流消失率(epsilon)

実行コマンド

cp -r $FOAM_TUTORIALS/compressible/rhoPimpleFoam/ras/angledDuctLTS angledDuctLTS
cd angledDuctLTS

m4 system/blockMeshDict.m4 > system/blockMeshDict
blockMesh
rhoPimpleFoam

paraFoam

計算時間

21.14秒 ※シングル、Inter(R) Core(TM) i7-8700 CPU @ 3.20GHz 3.19GHz

参照