本類は普通に用いらるる歯車と形態を異にする特種の機構を集む。設計には便利なれども製作困難なるもの多ければ止むなき場合にのみ用いるを可とす。
4 は一焦点を軸心とする楕円もしくは偏心円の筒の上縁に作れる歯。2 は細長き小歯車。軸 1 が等速に回転するときは軸 3 は一回転中最大、最小の角速度を有する回転を為す。天文学者ハイゲンス Huygens が星の運動を説明するために発明せり。
刻み曲線が卵形に類するを以てこの名あり。歯車 5 が歯車 4 を廻す。4, 5 両者の回転速比一様ならずして一回転中極大、極小を有する早戻り運動を為す。
1, 2 及び 3, 4 はそれぞれ相等しき楕円の焦点にして両軸距離 13 及びリンク 24 の長は楕円の長径に等し。(221) の如く楕円の周を刻み線として歯を刻む。1 は 3 を回転せしむ。早戻り運動の性質あり。リンク 12, 34 を背き並行クランク Antiparallel Cranks と言う。
1 は動者、2 は被動者。円弧の部分 5 が魚尾状の部分 6 に接する間は 1 が廻るも 2 は静止す。それ以後は両歯車の歯は組合いて 1 は 2 を廻す。依て 1 の一回転中に 2 は静止する時あり。凹部 3 と凸部 4 は歯車の歯が 組み始むる媒介を為す。5 の円弧の部分を錠前弧 Locking Arc、6 の円弧を鞍曲線 Saddle Curve と言う。
(223) と同一作用を為す。カム 3, 4 と 5, 6 の両組合は両歯車の歯の組み始を導く作用を為す。1 は左右何れに回転するも 2 を動かし得。カム 3, 4 及び 5, 6 の各組をスパー Spurs とも言う。
(223) と同一の作用を為す。歯車 1 の輪側より突起せるピン 4 が歯車 2 の輪側に取付けられたるカム 3 に触れて両者の歯の正しき組合を為す。他側の 6, 5 も同様にピンとカムにして反方向回転に用を為す。
ピン 4 とカム 3 及びピン 6 とカム 5 の各組をスパーと言う。
欠歯歯車 1 の円周部即ち錠前弧 6 が歯車 2 の鞍曲線 5 に接する間は 2 は静止す。斯くして 3, 4 が相触るるに至らば両車の歯は組みて歯車 2 は回転す。
扇形板 2 は欠歯車 4 と同一平面にして円板 3 は其の面外にあり。数多のピン 7 は歯 4 と組む。三組のスパー 5, 6 は歯 4, 7 が正しく組み始むる媒介を為す。軸 1 の連続三回転によりて車 4 は断続的に一回転す。
軸 1 の回転によりて扇形小歯車 2 が二重ラック 8 の上歯列 3 とあるいは下歯列 5 と組むことによりて 2 の等速回転はロッド 9 に等速なる往復直線運動を与う。
(228) の扇形歯車 2 が虫形車と為りラック 3, 5 は上下に曲線形に取付く。軸 1 の回転によりてロッド 9 は往復直線運動を為す。5 の等速回転は 9 に等加速直線運動を与う。
7 は扇形歯車の側面に突起せるピンにして之がスパー Spur 4, 6 と組む。扇形歯車の等速回転はロッド 9 に等加速往復運動を与う。
小歯車 1 はマングル車 2 を被動す。図においてはテコ 4 はマングル車 2 の形状如何によりて特種の振動を為す。
小歯車 1 の軸 3 はテコ 4 の端を軸受として回転し其の一端が溝 6 に入る。溝 6 に沿って円板面より突起せる歯別 222 あり。小歯車 1 の軸 3 は位置を変ずるも回転し得べきものとす。小歯車 1 の回転はマングル歯車に往復回転運動(揺動)を与う。本機構は始めて応用せられたる機械マングル(布の光沢を出す機械)によりその名を呼ぶに至れり。
(232) と同一の組合にて構造の異なるもの。
(232) の 222 の歯列の代わりにピン 3 を突起せしめ歯列の終には横断面円形のピン 4, 4 を以てせり。固定枠 2 は軸 7 を挟む。小歯車 1 の回転によりてマングル歯車は往復回転運動を為す。
外枠 4 は上下のコロ 6 に導かれて左右に往復直線運動を為し、内枠 3 は外枠 4 内を上下に動く。
759, 759 は相等しきベル・クランク。(99)=(88)=(55), (78)=(78)。小歯車 1 がその位置にて回転するときは外枠 4 は左右に往復直線運動を為す。
(234) と同作用を為す。小歯車 1 の軸は回転し且又上下し得。板 5 より突起せるピンの列 11, 12,……17 をピン・ラックと称す。ガイド 3 はピニョンがピン 17 と組みつつその周円を廻るとき外より押える三日月状の突起片。4 も亦同様なり。
ピン車 2 はその一部分欠き之に小歯車 1 が組む。 小歯車の軸受は右図に示す如くガイドによりてピン車の軸の方向に動き得。軸 3 の回転は 2 に回転往復運動を生ぜしむ。
小歯車 1 は垂直軸 3 とキー、溝仕掛にて組合さるるにより共に回転するが上下に動くは自在なり。渦巻歯車 2 は水平軸 4 に取付く。軸 3 が動者として軸 4 を廻す。
1 は動車、2 は被動車。動者 1 の回転よりて 3, 4 組の歯が噛み終るや腕(アーム)5 は 4 の側部を押し送りつつ、2 を廻して 6, 7 組の歯が組むに至る。斯様にして軸 1 の等速回転は軸 2 を一回転中ある角度間は遅く他は速く回転せしむ。
左右両歯車にて歯列 2, 3, 4 はそれぞれ歯列 2’, 3’, 4’ と組合う。軸 1 の等速回転は軸 1’ を三様の速度にて回転せしむ。ただし歯列 2 と 2’ が組むときは両者の回転速度相等し。
並行軸 1, 2 には外縁が対数曲線(等角曲線とも言う)なる車を取付く。両車は滑り無く回転す。故にこの曲線に沿って歯を刻みて歯車を作り得。この歯車は普通の歯車の如く順次に組合わして運動を伝え得。甲、丙は対称形なれども乙、丁は然らず。
円筒の縁に鋸歯 1 を刻みたる欠歯冠歯車 6 の歯は小歯車 2, 3 と組合い得。6 が同一方向に回転するときは軸 5 は左右に交々回転す。歯 1 が小歯車の歯と組み始めの際に起る衝撃と回転の方向の転換による衝撃が大なるにより本機構は遅き速度にて用いられあるいは軽き仕事に限り用いらる。
3, 4 は相等しき円錐。円錐 4 の表面の鋲 6 は円錐 3 の表面の穴 5 に入る。両軸 1, 2 の回転速比は次第に増減す。天文学者ロェメルの発明なり。
両軸 1, 2 はその方向直角なり。軸 1 の端に内面に角形雌ネジを刻む車 3 ありてビニョン 4 が之と組合う。 3 の一回転は小歯車 4 の歯一枚を送る(ネジ一重なる時)。逆に軸 2 が軸 1 を廻すこと能わず。
以上と正反対に内歯車と芋虫と組むものを内向歯車と芋虫と言う。
両軸 1, 2 はその方向直角なり。円板 4 にはタガ状の縁を有し之が歯車 8 の歯間に挟まる。軸 2 を一回転する毎に歯車 1 は歯一個送らる。軸 2 が軸 1 を廻すこと能わず。
両軸 1, 2 はその方向直角なり。円板 3 はその縁の一ヶ所が 6 にて示すが如く曲がりて 5, 6 の間が歯車 4 の歯を挟みて通過し得。軸 1 の一回転は歯車 4 を歯一個送る。軸 2 が軸 1 を廻すこと能わず。
(243) ないし (246) は送り装置あるいは錠に応用せらる。
両歯車にはそれぞれ螺旋状の歯 3, 4 を有し之が組む時のみ運動が伝わる。歯列 3 の他部分は円輪状の縁にして之が 4 の縦溝と組合う。軸 1 が回転中円輪の縁が 4 の縦溝と組む間は軸 2 は静止し 3, 4 が組むに及んで 4 は半回転し而して前述の如く静止す。即ち軸 1 の一回転において軸 2 は短き時間に半回転し残りの長き時間静止す。
両歯車 1, 2 は一回転中次第に回転速比の変化する回転を為す。
欠歯車 1, 2 は同軸に取付くより同時に回転す。図において 1, 2 が動者となりて右回転するとせば小歯車 3 は 1 と組む間は左回転するが之が外るるや否や 2 と組むに至り右回転す。3 の右回転は左回転よりも速かなり。
欠歯傘車 3 の一回転に対し歯車 4 は大部分は静止し 3 の歯が 4 の歯と組むに至りて 90° 廻る。即ち 3 の連続四回転は一回転中四回休息する間欠運動を 4 に与う。
四角の歯車 1 が等速に回転すれば歯車 2 は一回転中四回緩急の速さにて回転す。
印刷機械に応用せらる。
車 2 において数多のコロ 4 の軸は両側の環状側板が之を支う。このコロは歯車 1 の歯 5 と組むにより普通の歯車の歯における滑べりに起因する摩擦を減じ得。
平歯車 4, 5, 6, 7 は軸 2 より十字状に出でたる小軸上に回転す。軸 3 は中央くびれたる三角ネジにしてその両面に平歯車と同じ刻みの歯を刻む。軸 1 の回転は歯車 4, 7 を回しつつ軸 2 を廻す。4, 7 が 3 の下ネジ歯と外れんとするや歯車 4, 5 が 3 の上ネジ歯と組む。芋虫と芋虫車と同作用にしてそれよりも摩擦甚だ少なし。
両軸が普通直交せるとき傘歯車の歯を捩った形なり。音少なく回転滑かなるにより高速回転に用いらる。(173) と (253) との関係は (170) と (182) との関係と同一なり。
両歯車の軸は直角方向にあるを普通とするが同一平面上にあらず。歯の母線は直線なり。音少なければ高速回転に用いらる。(181) 及び巻頭挿絵 (181) を見よ。
円板表面 3 の表面には 4, 6 の如き四個の突起を出し之に葉形カム 7 が組む。円板裏面にも同様 5, 7 の如き四個の突起を出しカム 2 が組む 1, 2 両カムは円板を挟み且同軸に固定す。之をカム車と称す。カム車 1, 2 の四回転は軸 3 を一回転せしむ。
上者の変態機構にして作用を為す。
本図に示す 3 は外接のものなれども内接のものも設計し得。(185), (186) 参照。
中央に欠歯あるラック 1 の左右往復運動が中央に欠歯ある扇形歯車 2 に途中休息する揺動を与う。
扇片 3 は歯車 1 の固定する軸上に空転す。歯車 1 の矢示の回転は歯車 2 を廻すが扇片 3 の歯が組むに至れば 2 の回転の抵抗が引張バネ 4 の力に打克ちて 3 が軸に空転しその間 2 は廻らず。而してイ、ロの縁が相接するに至れば再び 2 を廻すが其の後バネ 4 は 3 を図示の位置に引付ける。