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浅水挙動

非圧縮流体では支配方程式を深さ方向に積分し、さらに線形化すると以下のような方程式が求まります。

$\displaystyle \nabla \cdot (- gH\boldsymbol{I} \cdot \nabla{\eta}) + \ddot{\eta} = 0,$ (207)

g は重力加速度、H は基準位置から測った流体深さ、I は単位テンソル、η は基準位置から見た流体高さです。通常は静止時の水面高さが基準位置として使用されます。この方程式の導出は[78]で説明されています。導出では以下の仮定が置かれています。

積分の処理によって上記方程式は2次元になります。つまり流体の液面だけメッシュを作成すればいいのです。熱方程式と比較すると、その対応関係は表(10)の様になります。従って浅水挙動は *HEAT TRANSFER プロシージャを使用してシミュレートすることができるのです。


表 10:熱方程式と浅水方程式の間の対応関係
熱の諸量 浅水の諸量
T η
q $ \frac{ \partial }{\partial t} (H \overline{\boldsymbol{ v}})$
qn $ H \frac{ \partial }{\partial t} (\overline{
{ v}}_n)$
κ HgI
ρh -
ρc 1

$ \overline{ \boldsymbol{ v}}$は深さ方向の平均速度、$ \overline{ v}_n$は計算領域境界に垂直なその成分です。平均化するので、方程式は水深が浅い場合にしか成立しません(浅水近似)。熱伝導係数相当の量が幾何量である深さに比例することに注意してください。深さが異なる場合には異なる伝導係数を定義する必要があるのです。

CalculiX には本当の2次元要素はありません。従って2次元のヘルムホルツ方程式を解くには、2次元の液面を一定厚みを持つ3次元の層に拡張し、厚み方向に関して変動が起きないような境界条件を適用する必要があります。

音響方程式同様、浅水方程式は双曲線系となるヘルムホルツ方程式であることに注意してください。非定常な問題では固有モードを計算し、モード解析を行なうことができます。


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guido dhondt 2016-03-08