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非回転、非圧縮性、非粘性の流れ

非圧縮性の流れで回転が無い場合、v = -∇φ を満たす流れ場のポテンシャル φ が存在します。さらに非粘性流れの場合には、任意の時間で回転がなければ以降も回転がないままであるということを証明できます[78]。その場合。連続の式は以下の様になります。

$\displaystyle \nabla \cdot (- \boldsymbol{ I} \cdot \nabla{\phi }) = 0,$ (209)

重力流の運動量バランスから以下が求まります。

$\displaystyle \frac{ \partial \boldsymbol{ v}}{\partial t} + \nabla \left(\frac{ p}{\rho_0} + \frac{ \boldsymbol{ v} \cdot \boldsymbol{ v}}{2} + gz \right) =0,$ (210)

ここで g は重力加速度、p は圧力、ρ0 は密度、z は重力加速度方向です。熱方程式と比較すると、その対応関係は表(12)の様になります。

表 12:熱方程式と非回転、非圧縮性、非粘性の流れ方程式の間の対応関係
熱の諸量 非回転流れの諸量
T φ
q v
qn vn
κ I
ρh 0
ρc -

いったん φ が決定すると、微分から速度 v が求まり、圧力 p を運動量バランスから計算できます。非回転、非圧縮性、非粘性の流れと聞くと非常に特殊な例のように聞こえますが、その適用範囲は非常に広大です。初期場が非回転なので静止状態から開始する流れは非回転です。音速の0.3倍以下の速さの流れは非圧縮と見なして問題ありません。そして物体の周りの薄い境界層の外側の流れは非粘性です。よく使われ例としては翼断面周りの流れが挙げられます。ただし境界層が剥離し、渦が起きる場合にはもはや上記の理論は使用できません。詳しい応用については[37]を参照してください。


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guido dhondt 2016-03-08