キーワードのタイプ:ステップ
このカードは新しいステップの開始を表します。オプションパラメーターは PERTURBATION、NLGEOM、INC、INCF、TURBULENCE MODEL、SHOCK SMOOTHING です。
パラメーター PERTURBATION が使用できるのは *FREQUENCY ステップ、*BUCKLE ステップだけです。このパラメーターが指定されている場合には最後の *STATIC ステップを基準状態として剛性行列の計算で使用します。これは前ステップの変形の取り込み(大変形剛性)、前ステップの荷重の事前荷重としての取り込み(応力剛性)、温度を考慮した材料プロパティーの決定が行なわれることを意味します。が有効化されている(機械的、熱的)荷重は摂動ステップで指定されているものに、変位と応力は固有モードと対応するものになります。ステップの最後で摂動荷重ははゼロにリセットされます。
非摂動ステップで有効化されている荷重は最後の摂動ステップ直前までの累積荷重になります(前のステップがない場合は計算開始までの累積)。ただし OP=NEW が指定されている場合はこの限りではありません。
NLGEOM が指定されている場合には幾何的な非線形作用が考慮されます。このため非線形ひずみテンソル(超弾性材料ではラグランジュひずみ、変形塑性ではオイラーひずみ、増分塑性では偏差弾性の左コーシー・グリーンテンソル)が使用され、ステップはインクリメントに分割されて各インクリメントでニュートン反復法が実行されます。内部的に使用されている応力は第2 Piola 応力ですが、これは出力前にコーシー(真)応力に変換されます。現在のバージョンでは幾何的な非線形計算は静的計算にのみ適用されるので、ステップでないで *STATIC キーワードまたは *DYNAMIC キーワードを使用しなければなりません。後者のカードではステップ、インクリメントの大きさを指定することもできます。(自動インクリメント時の)ステップでのインクリメント最大値は、熱機械計算の場合にはパラメーター INC(デフォルト100)を使って、3次元流体計算の場合にはパラメーター INCF(デフォルト10000)を使って指定できます。流体-構造連成計算の場合、熱機械計算部では INC、3次元流体計算部では INCF が使用されます。NLGEOM パラメーターはいったん選択されると、以降の静的計算すべてで有効なままになります。非線形材料(*HYPERELASTIC、*HYPERFOAM、*DEFORMATION PLASTICITY、*PLASTIC、*CREEP)を含む解析の一部では自動的に NLGEOM オプションが有効化されます。従ってこれらのタイプの解析では幾何的な非線形作用は常に考慮されます。またノットの存在する1次元、2次元要素を使った解析、*GAP、*MPC、*RIGID BODY 定義を持つ解析でも同じことをが言えます。
3次元流体計算の場合には、パラメーター TURBULENCE MODEL によって使用される乱流モデルが定義されます。選択できるのは NONE(層流計算、デフォルト)、K-EPSILON、K-OMEGA、SST [48]です。さらに流れが圧縮性の場合にはパラメーター SHOCK SMOOTHING を使用して衝撃平滑化係数を設定することができます。この係数は0.0から2.0の間の値を取ります。係数を大きくすると結果がなまされ、計算の予測精度は低下します。従ってまずは衝撃平滑化係数をゼロ(デフォルト)にして計算を行なった方がよいでしょう。計算が収束し、結果に問題がなさそうな場合にはさらなるスムージングを行なう必要はありません。計算が収束せず、解が明らかにおかしな場合は良い結果に収束するまで段階的に衝撃平滑化係数を大きくしていってください。この係数は非圧縮性流れには何も影響を与えません。
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例: *STEP,INC=1000,INCF=20000,TURBULENCE MODEL=SST
上記ではステップを開始し、熱機械計算でのステップ全体でのインクリメント最大値を1000に増やしています。また3次元流体計算ではインクリメント最大値を20000に設定し、乱流モデルとして SST モデルを選択しています。
サンプルファイル: beamnlp