前セクションの梁を例にその固有周波数と固有モードを計算してみましょう。横方向での異なる周波数を得るために横断面を1x1から1x1.5へ変更します。長さはそのまま(8長さ単位)です。入力デッキは前セクションのものほとんど同じで図8の様になります。デッキの全体はテスト例パッケージに含まれています(beamf2.inp)。
**
** 構造:圧縮力のかかった梁
** テスト対象:周波数解析。
** 荷重の大きさは最低周波数がほぼゼロとなる程度、
** つまり座屈荷重に到達している。
**
*HEADING
Model: beam Date: 10−Mar−1998
*NODE
1, 0.000000, 0.000000, 0.000000
.
.
*ELEMENT, TYPE=C3D20R
1, 1, 10, 95, 19, 61, 105, 222, 192, 9, 93,
94, 20, 104, 220, 221, 193, 62, 103, 219, 190
.
.
*NSET, NSET=CN7
97, 96, 95, 94, 93, 20, 19, 18, 17, 16, 15,
14, 13, 12, 11, 10, 9, 4, 3, 2, 1
*BOUNDARY
CN7, 1
*BOUNDARY
CN7, 2
*BOUNDARY
CN7, 3
*ELSET, ELSET=EALL, GENERATE
1,32
*MATERIAL, NAME=EL
*ELASTIC
210000.0, .3
*DENSITY
7.8E-9
*SOLID SECTION, MATERIAL=EL, ELSET=EALL
*NSET, NSET=LAST
5,
6,
.
.
*STEP
*STATIC
*CLOAD
LAST,3,-48.155
*END STEP
*STEP, PERTURBATION
*FREQUENCY
10
*NODE FILE
U
*EL FILE
S
*END STEP
唯一の大きな違いはステップ部分です。最初のステップで、梁の末端に圧縮力の形で事前に荷重が加えられています。 セットLASTに所属する各接点では値-48.155の圧縮力がZ軸性方向に、言い換えれば大きさ48.155のちからがZ軸不方向にかけられています。 2番目のステップは周波数ステップです。 *STEPキーワード・カードのパラメーターPERTURBATIONを使用して前のSTATICステップからの変形と応力を指定すると、それが以降の周波数計算に反映されます。 *FREQUENCYカードとその下の行はこれがモード解析ステップであること、下から10個分の固有周波数を計算することを表しています。 これらの結果は.datファイルに自動的に保存されます。 表2は事前に荷重を加えた場合と加えていない場合の梁の固有周波数で、ABAQUSと比較したものです(事前に荷重を加えていないモード解析の入力デッキはテスト例パッケージのァイルbeamf.inpフです。) 事前に荷重を加える事で固有周波数が下がっていることがわかるでしょう。 これが低い周波数ではこれが特に顕著です。実際のところ、最も低い曲げ固有周波数は低すぎて座屈が起きるほどです。 実は座屈荷重を計算する方法のひとつは最小固有周波数がゼロになる点まで圧縮力を増やしていくというものなのです。 今の例で言うと座屈荷重は 21 x 48.155 = 1011.3 力単位になります(係数21は21の節点に同じ荷重がかけられていることに由来します)。 座屈荷重を計算するもうひとつの方法は*BUCKLEキーワード・カードを使用することです。 この方法は同じ梁形状でテストパッケージに含まれるファイルbeamb.inpに記載されています。
| 事前荷重 無し | 事前荷重 有り | ||
|---|---|---|---|
| CalculiX | ABAQUS | CalculiX | ABAQUS |
| 13,096. | 13,096. | 705. | 1,780. |
| 19,320. | 19,319. | 14,614. | 14,822. |
| 76,840. | 76,834. | 69,731. | 70,411. |
| 86,955. | 86,954. | 86,544. | 86,870. |
| 105,964. | 105,956. | 101,291. | 102,148. |
| 162,999. | 162,998. | 162,209. | 163,668. |
| 197,645. | 197,540. | 191,581. | 193,065. |
| 256,161. | 256,029. | 251,858. | 253,603. |
| 261,140. | 261,086. | 259,905. | 260,837. |
| 351,862. | 351,197. | 345,729. | 347,688. |
図9と図10はマイナー慣性軸を横切る第2曲げモードでの変形と第1ねじれモードでの変形を示しています。