本類は錠及び之に類する作用を為す機構及び器具を集む。
柄 2 が柄穴 10 に入るときは錠は掛かる。鍵 Key 1 を向って右廻するときは斜面 5 を押しつつ柄 2 を右方へ移すにより錠は外づる。外づれたる錠において鍵 1 を左廻するときは 6 を押しつつ柄 2 は左方へ移りて錠が掛かる。切欠 8 は柄 2 を振動等にて動くことなからしめバネ 9 が之を押す。
上図の如く柄 2 が簡単なる形なれば合鍵を作ること容易にして安全ならず。之を困難ならしむる方法として種々の考案あり。本図は其例なり。小軸 0 にて 2 に蝶番せらるる板金イ、ロ、ハ、ニはその先端の爪 14 が同時に突起 13 より外づれざれば鍵 1 は柄 2 を右方へ動かす能わず。鍵の一ヶ所が高過ぎれば板金は 2 の突起 4 に突き当りて鍵を一回転すること能わず。板金の切欠の深を種々に変じて鍵 1 が之に符合したる深に刻まれざれば完全に作用する事能わず。板に刻む深と板の数により鍵を異にする多数の錠を造り得。
左図は錠の掛かりし状態にしてタンブラー Tumbler 1 を 180° 左廻すれば右図の如く錠を外づし得。バネ 5 は 1 を確とその位置に支持す。
鉤 3 の左端を穴に入れて押せば錠は掛かる。圧縮バネ 1 はスロット 4 を軽く押す。ネジ形鍵をネジりながら押込むときは 4 は押されて柄 2 は下がるが故に鉤 3 は外づる。
図は錠の裏板を剥がして内部の構造を表わす。柄 2 には切欠部 5, 6 あり。カム 1 を右廻するときはその辺 7 が 5 を押して柄 2 を引込ます。2 が引込みたるとき 1 を前と反対に左廻するときは柄は図示の如く出づる。1 を廻すには鍵 9 を以てす。数多の棒 11 はカム 1 の軸内にある数多の棒 11 と相向う。10 の後には圧縮バネあり。鍵 9 を図示の位置より引き抜くときは棒 10 は 11 を押し下げてその先端 11 の穴に入りてカム 1 の軸を固定せしむ。鍵 9 を差込むときは 10, 11 の接する両端は図示の如く 1 の軸の円筒面に移るにより鍵にて 1 を廻すこと自在なり。鍵 9 は平面ならずして二重に曲げらる。而して棒 11 の各長を異にすれば多数の錠を造り得。合鍵を作ること甚だ困難なり。
図示の位置にては円板 2 は回転することは能わず。円板 2 はその運動を防止するものなければ矢の方向に回転すると定む。鍵 4 を静かに一回転する毎に円板のピン 4 は一つずつ送らる。依て 4 の六回転に対して 2 は不連続的に一回転す。
図の位置にては軸 1 は回転すること能わず。錠 3 の半回転したる位置においては軸 1 は左右何れにも回転し得。
2 を左廻して点線図の位置にあらしめばピン 3 は溝 4 付ロッド 5 を右方へ移す。ただしロッド 5 の左端は図示の寸法よりも長し。戸扉又は窓の錠に応用せらる。
ピン 5 は軸 2 の端の羽根 7 の溝 6 に入り得べく円弧 3 は羽根 7 の外縁 8 と組む。左図における錘 4 を右図に示す如く右側に移さば軸 3 は左図の位置より左廻りて右図に示す位置に止る。4 を左側に移さば軸 2 は右廻りして後その位置に止まる。平削機の台の前後往復運動仕掛に応用せらる。
垂直のロッド 2 の垂下するに当り 4 が物に突き当るときはその鍵 4 はロッド内に入りて爪 3 を外づすにより球 1 を外づす。斯くしてロッドが上がるも球はそのまま残さる。深海測量などに応用せらる。
1, 2 はその位置にて回転し得る車。図示の位置にては車 2 は左右何れにも回転自在なれども車 1 は回転する能わず。然れども之を甲図の如く組むときは前と反対に 2 は動く能わずして車 1 のみ左右何れにも回転し得。乙図の如く組むときは 1, 2 の内何れか一つが先立ちて回転し得べき位置にあり。
蓋 1 は蝶番 2 にて円筒に取付く。T字形の頭を有する鍵 3 は実線図の如く蓋を閉じ又点線図の如く傾けて蓋を開き得。其の開閉甚だ容易簡便なり。
扁平なる円柱体の駒 4, 5, 6, 7 はその小孔に切欠溝 11 を作りこの溝に鍵 1 が緩みなく貫通す。駒の内部は削り取られて半分の厚を為す。弦 3 の両端 2, 2 にも鍵の貫通し得る溝孔あり。胸には数字又は文字を刻む。本図に示すは 1, 2, 3, 4, 5, 6 字なり。下図に示す如く駒の数字を左より右に 3, 4, 5, 1 と揃え之を 2 の刻目 9, 9 の線に沿って置きたる場合に限り鍵 1 を出入し得。されば図の如く鍵を貫通して後駒を廻すときは鍵は掛りて上述の文字合を知るに非らざれば外づすこと困難なり。駒の数の多き程この困難が増す。
クッドラント(扇形爪受)Quadrant 4 は軸 1 を中心とする円弧にして三個の切欠溝を穿つ。ハンドル 2 の右端を 5 と共に握れば爪 3 は切欠溝より抜け出づるにより 2 を何れへも動かし得。而して爪 3 を切欠溝上に置きて手握りを放せば爪 3 は溝に入りて 2 をその位置に安定す。
上図の張力バネ 6 の代わりに下図の如く板バネ 6 を用いるものあり。
棒 1 と棒 2 とはピン 8 とL形の溝の組合せによりて接ぎ合わさる。1 を上より見て少しく右に廻して引くときは 1, 2 は外づれる。
(左図)戸又は蓋 2 を図の位置に置かば球頭 4 の柄 3 はバネ 5 に押されて 2 が掛かる。然れども 2 を強く曳きもしくは押さば開き得。
(右図)蓋 2 を閉づる場合は爪 3 が柄孔 4 に入りて自動的に閉づれども之を開くには鍵を用いざる可からず。
左図の形にて深き河、海などに垂下し、之が底部に達し錘 1 が之に当るやクリップ 2 は外づれて左右の半球状カップ 3, 3 が底部の物を握る。之を引き上ぐるに当りクリップ 2 はカップ上部突起に嵌まり込むによりクリップは開く事なし。
軸 2 内を動く軸 1 の溝内にありて且つピン 5 にて支えらるるキー 3 はバネ 4 にて押さる。6 は (191) の機構にしてハンドル 7 が小車を廻す。之によりてキー 3 を歯車 8, 9, 10 の何れかに掛けることによりてその歯車を軸 2 と共に回転せしめ得。歯車の数を増すことによりて四段、五段変速をも作り得。
竹 1 を地に垂直に挿し込み之をたわめて図の如く糸と連絡す。鳥が内部の餌に誘われて 2, 4 間を進まんとし竹 2 に触れて之を下ぐるときは鍵 3 は外れ竹 1 の弾力は竹竿 4 を急速に下して 4, 5 間に鳥を挟む。捕鼠器等この理を応用するもの多し。
撃鉄 Hammer 7 を親指にて手前へ引くときは歯列 6 の歯が引金 Trigger 4 と噛む。この場合でバネ 3 はリンク 2 にてたわめらる。斯くして後引金を引くときは歯 6 と爪 4 の噛合が外づれて 7 は 8 を撃つ。
発射反動を利用して薬莢を自動的に詰替え常に発射用意にあらしむる尾栓閂の撃発装置の運動を明示するために特に運弾装置を省きたり。
(甲)は引金を引き撃鉄が落ちたる場合を示す。この時、銃身内に薬莢あれば発射の反動により 4 は圧縮され銃身尾栓は嵌合のまま退却 Recoil して(乙)の有様となる。この時、ある外力を以て 5 を支持したりとせば銃身は常に 4 により前進せんとするために 3 は回転す。即ち閂は外れる。依て銃身だけ前進し(丙)の有様となる。而して之と同時に爪 31 は 13 に掴まる。次に前記 5 を外力の支持より自由にすれば尾栓は 6 の力によりて前進す。ただし閂は 13 により掴まれたるまま進むといえども漸次 5 の鼻 51 は 13 を押下げ尾栓 2 が銃身に接触する直前に段 31 は爪 13 より外れ同時に 3 は回転するを許され閂は嵌合す。
8 は尾栓が後退するとき起さるること図にて明瞭なり。引金を引く指の力を緩めざる前に尾栓が前進するとき 8 の爪 82 が引金の爪 92 に掛り 8 は支えられて落下する能わず。しかし指の力を緩むるときは爪 81 が爪 91 に掛かる即ち任意の連発は只引金に制御せらるる事を知るべし。安全シーヤ 10 は其バネによりて常に引金を引く能わざる如くなすといえども(乙図、丙図参照)尾栓が銃身と嵌合するときは 5 の後部斜面がシーヤ 10 の上端を右に押して引金の引きを自由にす(甲図、丁図参照)即ち閂が完全に嵌合したるときのみ引金を引くを得るなり。又 5 を必要に応じて支持しあるいは自由にする仕掛は運弾装置中に仕組まれ本図には混雑を避くる為め、特に之を省きたり。
撃鉄 11 が雷管の発火ピンを打ちて後ある程度に退きて常にピンと雷管と接せざることが特徴なり。
主用バネはピン 8 と突起 3 によりて左廻を防がる。その一枝 1 はリンク 10 によりてタンブラー Tumbler 4 と連結し図示の位置にてもバネはなお強く張る。11 を実線の位置より点線図の位置に手指にて引かば撃発爪 7 シーヤ Sear 5 の爪が掛かりて 11 を点線の位置に安定せしむ。引金(図示せず)を引かば 5 の右端が押上げられて爪は 7 より外づれて 11 が雷菅を撃つ。之に次でバネ 2 は跳ね返りて 5 の爪は爪 6 に掛かる。4 の軸と 10 との距離は 11 を左より右に移すに従いて減少するにより撃力は強くとも引金を引く力少にして足る之散弾猟銃に望ましき事とす。
中図は打ちたる後のタンブラー 1 の位置を示す。之を下図の如く折るときはリフター Lifter 5 は 1 の右端 3 を押し上げためにシーヤ 4 の爪が掛かるにより銃身を中図の様に元に復すときは 1 は掛かる。故に引金を引かば 4 の爪が外れて 1 は雷管を打つ。銃を開くと同時に 1 の左端の針は引込むにより前述の如き跳戻り作用を要せず。
5 は銃身足内に装置されしかも先台 6 を外づすときは 5 は足内に全く引込む依て 3 は 5 に掛からず。銃身を銃機より取外すに便す。図は二連発銃にして 5 は二個の 1 を同時に掛ける。
図示の位置にて揺動し得るテコ 2 を垂直にしつつ左に移してピン 5 を溝 4 に入るるとテコは其の位置にて揺り動かし得。垂直以外にてはテコを右より左に移す事能わず。
6 を右に引寄せた図示の位置にてはテコ 1 は動くが 2 は動き得ず。然るに 6 を左に寄するときは 1 は静止し 2 は動く。斯様にしてテコ 1, 2 は同時に動く事なからしむ。キー 5 は棒 6 に取付く。
図示の位置にてはテコ 2 は動くも 1 は静止す。然るに取手付ピン 3 を右に移してその右栓をテコ 2 の穴に入るると 2 は静止し 1 は動く。1, 2 が同時に動く事能わず。
1, 2 はタガ車にして図示の部分 3, 4 の縁が欠く。この組合は (505) と全く同一の作用を為す。
図の如くピン 3 が 1 の柄穴に差込まれ 1 は静止し 2 は自由に回転するが 3 を 2 の柄穴に差込めば 2 は静止し 1 は自由に回転す。1, 2 が同時に廻り得ず。
車 1 の輪周の円溝の一部 7 は中心に向けて窪み島 10 との幅が円溝の幅と同一にてこの溝及び円溝にピン車 2 のピン 3 が通過し得。10 の両側 8, 9 は 3 の出入する様切欠く。1 が矢の向きに動くとき円溝にピン 3, 6 が入りて 2 は静止するが 7 が 3 に逢会うと 3 を 1 の中心近くに動かし 4 を 8 より吸込み同時に 6 を 9 より吐き出す。ピン 3, 4 が円溝中に入りて 2 は静止す。斯様にして 1 の一回転は間欠的に 2 を四分一回転送る。
図示の位置にてはキー 3 は車 4 を軸 1 に固定するが押ネジ 5 を締めて圧縮バネ 2, 2 に逆らってキー 3 を下げればキーは車より外づれ 4 は軸 1 上に空転し得。カラー 6, 6 は押ネジにて軸 1に固定され駒 7 はピンにて取付らる。
定位置にて回転する軸 9 は摩擦縄車 5、軸受 4、外軸受 8 を貫く。矢の方向に廻すと軸上に空廻りするフランジ 3 のピン 1, 2 がことごとく当ると軸 9 は停止し 5 は空廻りす。而して更に 5 を矢と反対方向に廻すとピン 1, 2 がことごとく当り終ると規定の回転数に達し軸 9 は停止す。バネ巻機械に応用さる。
軸 1 上に空転するタガ車 9 の輪周は八等分に穴 6, 7, 8 等あり。軸 1 に取付くエキセン 2 のストラップの下枝 3 は固定穴 4 を上下に滑り上枝 5 は図示の位置では穴 7 を覗き 2 のみが半回転すると穴 8 に向う。2 の回転に当りて 5 は 7 に入り車 9 を八分一回転せしめ 7 が 8 に移れるとき 5 が抜け出でそれより半回転の間 9 は静止す。斯くて 2 の連続八回転は 9 を八回休息する間欠運動にて一回転せしむ。
カム 2 は軸 1 と一体をなし 3 は 1 と同軸線なる他軸に取付く。2 が矢の向きに廻るとコロ又は球 4 は顎 5, 6 に押され 3 を廻すが矢と反対に廻ると 4 は外づれて 3 は回転せず。図では 4 が一個なるも数個を使用し得。
車 12 は歯十二枚のタガ車にして時針 3 と一体をなし 1 軸上に空転す。歯十一枚の車 11 は 1 と同体なるエキセン 2 と廻りツガイを為す。軸 1 と分針 4 は一体をなす。