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*DYNAMIC

キーワードのタイプ:ステップ

このプロシージャを使うと運動方程式の直接積分を使用した動的荷重の影響下にある構造体の応答を計算することができます。また、このカードは熱伝達のない非定常・非圧縮流れの計算補正にも使用されます。

オプションパラメーターは DIRECT、ALPHA、EXPLICIT、SOLVER の4つです。パラメーター DIRECT はユーザー定義の初期時間インクリメントを変更しないように指定します。このインクリメントの大きさで収束しなかった場合は計算が停止しエラーメッセージが表示されます。このパラメーターが設定されていない場合にはプログラムは収束率に応じてインクリメントの大きさを調整します。パラメーター ALPHA は-1/3から0の間の値を引数として取り、高周波数応答の散逸を制御します。小さな値を設定すると数値減衰の効果が大きくなるのです([53])。デフォルト値は-0.05です。

パラメーター EXPLICIT は以下の値を取ります。

この値が指定されていない場合には3と見なされ、パラメーターも含めて指定されていない場合にはゼロと見なされます。

最後のパラメーター SOLVER は続く方程式系を解くのに使用されるパッケージを決定します。設定できるのは以下のソルバーです。

デフォルトは「SGI、PARDISO、SPOOLES、TAUCS」の中でインストールされていて、リストで最初に来るものです。どれもインストールされていない場合は CalculiX パッケージに同梱されている反復ソルバーがデフォルトになります。

SGI ソルバーは最速ですが、プロプライエタリです。もし SGI 製のハードウェアを所有していれば科学計算パッケージも持っているはずです。このパッケージには SGI 疎系ソルバーが含まれています。SPOOLES も非常に高速ですが複数コアで実行する機能がなく、解ける系のサイズは使用する RAM メモリーのサイズによって制約を受けます。RAM が2GBの場合には250,000までの式が解けます。TAUCS も良いですが、個人的には LLT 分解でしか使用したことがありません。この解法が適用できるのは陽な有限系だけです。このソルバーは複数コアでの実行機能があり LU 分解にも対応していますがあまりうまく実行できたことはありません。次に来るのが反復ソルバーです。SOLVER=ITERATIVE SCALING が選択されている場合には前処理は対角項のスケーリングに制限されます。SOLVER=ITERATIVE CHOLESKY では不完全コレスキー前処理が有効になります。コレスキー前処理によって収束性がよくなり、実行時間が短くなる可能性がありますが、この処理には行列の非ゼロ成分とおおよそ対応する量の追加記憶領域が必要になります。メモリーが足りない場合は対角スケーリングは最後の選択肢にした方がよいでしょう。反復法は完全な3次元構造体に対してはうまく動きます。例えば、半球の計算では ITERATIVE SCALING ソルバー設定の方が約9倍、また ITERATIVE CHOLESKY ソルバー設定の方が約3倍、SPOOLES よりも高速です。平板やシェルなどの2次元構造体では、効率は劇的に低下し、収束させるためにはしばしばコレスキー前処理が必要になります。薄い構造体を多用している場合のほとんどではSPOOLES(やその他の直接解法ソルバー)はうまく動きますが、反復ソルバーよりも多くの記憶領域が必要になります。PARDISO は Intel 製のプロプライエタリなソルバーです。

動的ステップのデフォルトではステップ開始時に荷重は完全な大きさで適用されます。*AMPLITUDE カードを使用すると他の荷重パターンを定義することができます。


1行目:

2行目:

例:
*DYNAMIC,DIRECT,EXPLICIT
1.E-7,1.E-5

上記では長さ10-5のステップに対して固定時間インクリメント10-7で陽的な動プロシージャを定義しています。

*DYNAMIC,ALPHA=-0.3,SOLVER=ITERATIVE CHOLESKY
1.E-7,1.E-5,1.E-9,1.E-6

上記では変動インクリメントサイズで陰的な動プロシージャを定義しています。デフォルトの α=-0.05 の代わりに α=-0.3 として数値減衰の効果を高めています。またコレスキー前処理付きの反復ソルバーが選択されています。開始インクリメントは大きさ10-7で、以降のインクリメントは10-9以上、10-6以下の大きさを取ります。ステップサイズは10-5です。


サンプルファイル: beamnldy、beamnldye、beamnldyp、beamnldype


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guido dhondt 2016-03-08