本類は専ら簡単なる機械部分品あるいは器具を集む。
図において上図は六角頭にして下図は四角頭なり。機械には一般に六角頭のもの多く用いらる。頭を有し雄ネジとを刻めるはボルト、孔に雌ネジを刻みてボルトと組むはナットなり。ナット二個用いてナットの上に更にナット締めうるときはそのネジ戻りを防ぎ得。上のナットを止ナットと言う。
ボルトはその頭は半球状、直下は四角、他の部は丸棒。ナットは四角又は六角なり。車輌工事、電柱工事、建築工事、造船工事等専ら木材工事に用いらる。頭部直下四角なるはボルトを打込みて之にナットを組ましむるときボルトが廻らざるためなり。頭部の丸きは手触り滑らかにて工合良きためなり。
ナットは四角又は六角。ボルトの頭は円錐形にして割目ありて木ネジ廻にて廻し得。ボルト頭の出づるを厭うか又は軽便なる取付に用いらる。
左方のネジ部をネジ込みて固定す。右方にナットを組ます。専ら機械部分の取付に用いる。左方にネジ載することの代りに角錐とし其の稜に二三の刻みを入れてあるいは押つぶして之を石又はコンクリートに値込みてセメント固めとするものを鬼ボルト Lewis bolt と称す。
植込ボルトを使用し能わざる場合もしくは軽便なる取付に用いらる。頭又はネジ端にて他物を押す様に用らるるにより押ネジの名あり((6) 及び (16) の 8 を見よ)。
大型木ネジにして多くは鉄製なり。例えば小なる機械部分を木台上に取付くるに用いらる。
この鉄製木ネジは抜け出づるに抗する力甚だ大にして専ら木材の取付に用いらる。
普通形木ネジにして木材細工に多く使用せられ鉄製、真鍮製あり。
ボルト頭又はナットのみにては支持面少なきため其の下に円形又は角形の板金を置く場合あり。之を座金 Washer と言う。又 (552) を見よ。
通常水平軸を支う。其軸と触るる部分をメタルと称す。本図は内面にホワイト・メタル(摩擦甚だ少なる合金)を張る。普通メタルは砲金製にして管形を為しカップ 2 にて締付けらるる型のもの多し。ナット 1, 1 はカップ 2 を締付く。カップには油壷ありて油は油穴よりメタルに注がる。孔 5, 5 を貫くボルトにて台に取付けらる。
メタルと外枠は球面ツガイなれば軸のわずかなる傾斜あるもコジレを生ぜず。この種の軸受のメタルは鋳鉄製のもの多く又内面にホワイト・メタルを張るものあり。図において 2 は油壺の蓋、1 はカップ 4 を取付くるナット。5 は据付用ボルトの貫く孔なり。
上述の軸受は梁上に据付くる型なるが本図は梁下に水平軸を吊り支うる軸受なり。本図の如き両持の形を U 字型と言い片持即ち一個の肘にて支うる形を J 字型と言う。その形英字に似たるを以てなり。
輪 2 は軸の回転に伴れて回転し油室 3 の油を持ち来りて軸 1 に注ぐ。故に普通の軸受の如く半日に一度油壺に給油することなく定量の油にて永く使用し得。特種軸受に関しては第二十五類を見よ。
軸 1 に鍔 2 を貫通せしめ押ネジ 3 にて軸 1 に固着せしむ。一例としてこの鍔は軸受の側面に触れて取付けられ之によりて軸の軸身が方向に移動することなからしむ。押ネジ 3 は四角又は六角頭を有するものあるも危険防止のため図の如く割目を附し且頭隠しとするを可とす。(304) を見よ。
線金 3, 3 を図示の如く打ち込みて後之を切りて 2 の傍面と同様に端をヤスリ仕上げす。鍔 2 は軸 1 に対して回転す。 (G) における鍔の廻る形なり。
重点 1 は荷物の加わる部分、力点 2 は動者の力の加わる部分。支点 3 はテコを支うる部分。腕(アーム)23 の距離長ければ力を利する事大なり。テコは力を利するためかあるいは運動を伝うるため(速度あるいは方向を変化するため)に用いらる。
1 端の往復運動は 2 端に異なる方向の往復運動を生ず。一般に運動の方向を変ずるに用いらる。腕 13 に比して腕 23 長ければ 2 端の運動の幅は 1 端のよりも大なり。両腕は同一平面に限ることなくそれぞれ長き軸 3 の両端取付けらるることあり。
バネ 6 は槌 2 を支う。縄 4 を少しく曳きて急に放す時は槌 2 は運動の惰勢によりて鐘 5 を打つ。バネ 6 の弾力は 2 を跳ね返して図示の位置に復す。この 2, 3 は曲がれるテコなるによりベルクランクの名之より出づ。
ピン 1 はテコ 4 の軸に直角に出で双立せる支柱 5, 5 之を支う。ピン 1 は イ, ロ, ハ, ニ, ホ 何れにても支えらるるにより適当の高さにテコ 4 の支点を置き得。ハズミ車(又は勢車)を手廻しする場合等に応用せらる。
コロ 8, 9 はその両端がそれぞれ軸受 1, 3 にて支えられ且軸端の歯車仕掛にて矢の方向に相向いて回転す。滑り子 3 は左右に摺動し得べくテコ 4 によりて押さる。コロ 8, 9 間に石などが挟まるときはコロ 9 は右側へ寄りて容易にその間を通過せしむ。錘 6 を左右に寄する事によりて滑り子 3 の押力を加減し得。又縄 7 を引かばこの押力は無くなる。テコ 4, 5 の代りに圧縮バネを用いるものあり。
1 を軸、2 をピン、3 を腕、全部をクランクと称す。上図は左右の軸が支えらるる両持式にして、下図は片持式なり。往復運動を円運動に変ずるかあるいは円運動を往復運動に変ずるに用いらる。第二類に其例多し。1 及び 2 の軸線距離をクランク半径と称す。
ストラップ(外輪)3, 4 はボルト 6, 6 にて一体に結合せられ円板 2 と回りツガイを為す。ディスク(円板)2 を軸 1 が直角に貫きキーにて一体を為す。軸 1 の回転はロッド 5 に往復運動を与う。エキセンはクランクピンが拡大して円板と為りクランク軸が之を貫通する形と成りたるものにて機構学上クランクと同一作業を為すものと考えらる。(53) を見よ。軸 1 の軸線とディスク 2 の軸線との距離をエキセンの半径と称す。5 は半径の二倍距離を往復す。
芋虫車 3 は軸 1 に固定す。円板 2 は軸 1 と回りツガイを為す。2 より出でたる二個の突起片は芋虫(ワーム)4 の軸を支う((176) を見よ)。 4 を廻して軸 1 に対し円板 2 の中心を廻し得。
軸受 2 の円錐曲面と軸 1 の円錐の肩と接触する部分、軸 1 の左端の円錐先端 3 を 7 にて受くる部分は何れも円錐軸受の例なり。軸受が摩耗其他の原因にて緩むときは座金ナット 6 を締めて容易に適度の緩に加減し得。旋盤などに応用せらる。
円錐軸 1 とメタル 2 と接触す。止ナット 5, 5 は座金 6 の右に締合され,、止ナット 7, 7 は座金 8 の左に締合され以て 1, 2 の嵌合を適度にす。摩耗其他の原因にて緩むときはこの止ナットにて嵌合を適度に修正し得。
1 を固定してスライド(滑動片)2 を下方に動かさば 3 は右方に動く。下向きに 2 に加わる力は右方より 3 に加わる強大なる抵抗力に打勝ち得。又 2 を多く上下するも 3 は微動す。大型原動機のクランク軸受のメタル加減用等に応用せらる。
1, 3 と 1, 2 及び 2, 4 は何れも滑りツガイにして 3, 4 は一体を為す。1 が上下に動く時は 2 は左右に動く。
左図において楔 1, 2 を左右より打込むときは柱 4 を大なる力に抗して基だわずか上げ得。右図は刃物が薪を割る理合いを示したるものにして上より加えられたる力は左右に強大なる裂開力となる。
緩き円錐 1 の頭部は平たく削らる。2 は円錐穴を穿ちその底部にはほぞ穴を設け之に 1 の頭部を差込み緩みなく嵌合しめ 捩力に耐えしむ。クサビ 3 をほぞ穴に点線図の如く差込み其頭部を打つときは 1 を抜出し得。錐の柄取付等に応用せらる。
リンク 1, 2 はピン 3 にて接合せらる。1, 2 を廻し得るが爪 4, 5 が突当ればその向には廻し得ず。窓金物等に応用せらる。
縄 3 の端をあまり緩みなく環 2 に貫き鈎 1 にて荷物を吊すときは綱は 1 の刻目に食い込みて外づるることなし。急を要する荷揚げ仕事などに用いて便なり。
荷物を吊るす縄又は綱端の環 4 を鈎 1 に掛ける。その外づれざる為に環 2 を 1 の端に掛ける。作業中環 4 が鈎 1 より外づるる恐れなきも之が取外し甚だ容易なり。
荷物を吊す綱端を輪にして鈎 1 に掛ける。荷物を所要の高さに揚げて後急に落下せしめんとして綱 4 を曳くときは爪 3 は外れて鈎 1 掛けたる綱は外る。
綱 6 を下方に曳くとき鈎 1 は左に移るが環 5 は 2 の下端の爪にて支えられ終には外れて吊せる荷物は落下す。掛外し鈎と共に抗打作業等に応用せらる。
両鈎 543, 642 は 4 にて蝶番せられ 1, 2, 3 は何れも蝶番なり。吊し綱 8 を緩めるときは両鈎 5, 6 は開きて石又は木材 9 を挟み綱を曳き揚ぐるときは 9 を抱き持ち て揚ぐ。掛け外しすこぶる容易なり。氷、木材及びレール運搬等に用いらる。
両鈎 1, 2 を開きて環 3 を掛けるときは 1, 2 と 5 とは恰も鎖の如く接合せらる。掛外し容易にして軽便なり。帆墻用の綱等に用いらる。
重き車 1 の軸 2 の両端は環 3 にて支えらる。車が速に回転するときは環端 4 にて支えられて平均しつつ静に還 6 の周囲を廻る。自在接手 (30) の 4 を以て本機の車 1 とするときは外輪 1 が如何なる方向に位置を変ずるも車の運動の向きに変化なし。水雷、羅針盤などに応用せらる。
環 1, 2 は左右軸 5, 5 によりて又環 2, 3 は上下軸 6, 6 によりて組合され以下之に倣いて組合さる。1 を静止する時 4 はその中心の位置変ぜずして表面が知何なる方面にも回転し得る事恰も中心を固定せる球を廻すが如し。羅針盤、船のランプ釣等に応用せらる。
4, 5 は管の両端の円錐接合を形成し袋ナット 3 を締めて両管を接合せ又 3 を前と反対に廻して外し得。接合又は取外し容易なり。初めて水管接手に用いたる人の名を冠してテメリー水管接手 Emery’s Hydraulic Joint とも称す。
(31) の接手のネジにおいて、雄ネジ 4 は等分に (ロ) の部分を切去られて (イ) の部分を残す。3 の雌ネジも同様 (ホ) の部分を切去られて (ハ) の部分を残す。ただし (ハ) の長は (ロ) よりも短くす。而して (イ), (ハ) の部分は 両者が (31) の如く全く締付けられたるとき互いにネジ合ふ部分とす。締付の位置より 3 を約 45° 廻して取外づし得。又 (31) の如く 4, 5 を突合せて後 3 を約 45° 廻して締め合せ得。消防ポンプ、水管接手用等に用いらる。両ネジを円錐にし以て連射砲の尾栓開閉装置にも応用せり。(74) を見よ。
両管 4, 5 の両端は (32) と同様円錐接合なり。突起 7, 8 は約 7° の勾配にて互いに組む。3 を矢と反対に 20° 内外回すときは外づれる。又 4, 5 両端を突合せて後 3 を矢の向きに廻して接合す。消防ポンプ等の水管接手等に応用せらる。
管 4, 5 の両端 1, 2 は球面ツガイにして 4 と 5 は自在に廻り動くこと恰も肩の関節におけるが如し。自在接手吐水コック等に応用せらる。又管の代わりに充貫せる棒(例ばリンクの如き)の球接手は調速機、工作機械の補助部分等に応用せらる。
序 3, 第 4 図の球ツガイはリンクの接手なり。
2, 3 は (39) に示すパッキン。管 1 は管 4 に差込まれて自由に動き得るにより長き管にこの接手を用いるときは熱膨張による管の伸縮を自由にし得て之に原因する障害を除き去る。
丸線金をネジ形に巻き之に横断面三角形の線金を接合せたる管なり。少しくたわむも外部の三角線金は丸線金に隣るるによりわずかの圧力なればガス又は水の洩るる事なし。
金属板帯を下図に示す如く三重曲げとし之を螺旋状に巻き板と板の間 1 にゴム板を挟ます(図示を省く)。たわみ自由にしてガス器具等に広く用いらる。
四個の縁付車(トロリー)2 は横断面I字形の鉄材梁 1 の下縁上を転がる。車軸 3 はU字形鉄 4 に固定す。環 5 にて荷物を吊す。長き鉄材梁 1 は一般に水平に据付けられ種々の軌道を形成す。因て梁に沿って重き荷物を吊しつつ運び得。
5 の如くボルトの一端が環を為すを輪付ボルト Eye bolt と称す。
ロッド 1 が蓋 5 より出入するに蓋右側の圧力が左側へ漏れざる仕組なり。3 はパッキン(詰物)Packing と称せられ木綿糸を角組にし之をへットもしくは内部油に浸せしもの。(左図)二個もしくは二個以上のナット 4 がグランド 2 を締めて 3 を程よく押す。(右図)グランドの代りに袋ナット 2 を用いる。
詰物を金属としたために高熱の蒸気又はガスに耐う。3 は断面矩形の又 4 は断面三角形のピストン・リング状の一ヶ所切り欠かれたる輪にして 3 は之の張りにて又 4 はバネ 2 によりて押されて何れもロッド表面を圧す。油管を通じて詰物とロッドの触るる表面に注油す。
軸 1 はキー 4 を植えスリーブ 5 を貫く。5 のくびれをリング 2 が左右より抱く。2 より突起するピン 3 はテコ 8 の二又枝の溝を貫く。
テコ 8 にて回転する軸 1 に対して 5 を軸方向に動かし得。溝穴の代りに 3 と 8 をリンクにて連結するものあり。
1 は支点、2 は重量を吊す点、3 は分銅の棹に掛かる点とす。点 1 が直線 2, 3 の少しく上にあることが天秤の構造上必要なる条件なり。点 1 が直線 2, 3 に近寄るに従い感度増大す。
図は一例を示す。2 に固着するキー 3 は丸軸 1 の縦溝 4 を滑べり動き得。斯くして 1, 2 は滑りツガイを形成す。又長きキーを縦溝に埋めて之に固着し 2 が之に滑べり動く構造もあり。
数多の縦溝を刻みたる軸 1 と之に嵌合する孔を有する 2 とが滑りツガイを為す。通常 1, 2 は同時に回転するが 2 は軸方向には自由に動き得。自動車に応用せらる。
テコ 6 によりてプランジャ 5 を左に押せば球 3 は次々に動かされロッド 1 を押し上げる。又 5 を右に動かせば球は下がりバネ 2 は 1 を下降せしむ。
軸 1 は円板 2 にキーにて偏心に取付く。2 は溝 4 とボルト 6 によりて円板 5 に固定し得。6 を溝 4 に沿って動かせば偏心半径を種々に変化し得((15) を見よ)。