本類は専ら綱を用いて特種の機械的運動を為す仕掛あるいは糸に関係ある機構を集む。
定規 1 は上下に並行に動く。
左図において 2, 3 は定規 1 に固定する滑車。糸は左より 4234 又右より 5325 順に張りて両端がそれぞれ 4, 4 又は 5, 5 にて終る。右図において定規の糸は何れも 2453 の順に張られ 2, 3 はその端の取付部なり。
綱 5 はドラム 2 を数回巻き案内車 6 を経て舵柄 Tiller 4 に結び付く。ハンドル(取手車)1 を左あるいは右廻して舵の柄 3 を所要の向きに廻わす。
テーブル 2 は数多のコロ 6 の上を左右に動き得るものとす。綱 3, 3 はドラム 1 にそれぞれ右巻あるいは左巻に巻付く。クランクにて軸 1 を右あるいは左に廻しテーブルを往復運動せしむ。
左端 4 に綱端を取付け軸 1 を等速に回転するに綱は右へ 432 と次第に速にそれより右へ 234 と次第に遅く巻付く。英国マンチェスター市ロバー ト氏は紡績機ミュールに之を応用せり。鉱山等にて綱を巻き揚げ又は緩め下ぐるに衝撃少なき方法と して応用せらる。時計のバネ仕掛にも(回転のモーメント一様なるために)応用せらる。
調車 2 は軸 1 に偏心に取付く。3 は踏板(トレッドル)4 に取付けられたる遊動車。2, 3 を纏らすに鎖を以てす。踏板 6 を踏みて軸 1 を回転せしむ。7 は大鼓もしくは勢車なり。クランクと足踏板と同一作用を為すにより足踏旋盤等に利用せるる。
綱 3, 3 はその一端は扇形板 2 に他端は弓形枠 1 に取付きて張る。1 を上下動すれば軸 2 は揺動す。又逆に 3 の揺動は 1 に往復運動を与う。
横木 2 を急に上下するときは棒軸 1 に糸 3 が、あるいは左廻に、あるいは右廻に巻き付きて錐 5 は左右に交々回転す。錘 4 は回転に惰性を与う。廻し始めには綱 3 と棒 1 に巻きて急に 2 を押下げる。
大なる車 1 を回転するときは並行する数多の小軸 2 は何れも急速に回転す。吾国にては大古より斯る糸繰機械を用いたり。
軸 1 が綱にて軸 2, 3, 4 に回転を伝うるに当り動力が強ければ綱の滑る恐れあるにより幾巻きか巻付く。この場合綱を張るため張り車 5 を用う。動滑車なる 5 は綱と錘 7 によりて常に右方に引かれ綱に一定の緊張力を与う。(323) を参照せよ。
重き荷物 4 を吊す綱 3 を水平の棒 1 に数回巻き、その間を棒 2 にて槓じ小なる力にて荷物 4 を揚げ得。往古航海盛なりしスペイン国の船夫が荷揚にこの理を応用せしよりこの名あり。
錘 3 は縄を引張る。ハンドル 1 を廻して充分ヨリを掛けて後 2 を次第に上ぐるときは三本の撚子は一本の縄に撚らる。
左右前後四個の車 1 を有する車体 8 は二本の水平梁木上に据付けられたる二条のレールの上を転がる。2, 3 は綱車にして 5, 5 は巻上用ドラム。鈎 4 は 8 によりて左右に移動し得。5 を巻きて吊したる荷物を上げ且左右へ移動し得。
錘 4, 5, 6, 7, 8 は円錐状の台にてある間隔に支えらる。垂直棒 1 は各錘を緩く貫通し下端に頭ありて上端に滑車 2 を巻く縄 3 を結び付く。綱 3 を曳くに従って次第に錘が掛りて抵抗力を増す。水力機、昇降機等に応用せらる。