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*ELECTROMAGNETICS

キーワードのタイプ:ステップ

このプロシージャを使用すると電磁気解析を行なうことができます。非定常の場合には熱解析と連成することも可能です。この場合には計算は非線形になります。これは材料プロパティーが解、つまり温度に依存するためです。

オプションパラメーターは SOLVER、DIRECT、MAGNETOSTATICS、DELTMX、TIME RESET、TOTAL TIME AT START、NO HEAT TRANSFER です。

SOLVER は続く方程式系を解くのに使用されるパッケージを決定します。設定できるのは以下のソルバーです。

デフォルトは「SGI、PARDISO、SPOOLES、TAUCS」の中でインストールされていて、リストで最初に来るものです。どれもインストールされていない場合は CalculiX パッケージに同梱されている反復ソルバーがデフォルトになります。

SGI ソルバーは最速ですが、プロプライエタリです。もし SGI 製のハードウェアを所有していれば科学計算パッケージも持っているはずです。このパッケージには SGI 疎系ソルバーが含まれています。SPOOLES も非常に高速ですが複数コアで実行する機能がなく、解ける系のサイズは使用する RAM メモリーのサイズによって制約を受けます。RAM が2GBの場合には250,000までの式が解けます。TAUCS も良いですが、個人的には LLT 分解でしか使用したことがありません。この解法が適用できるのは陽な有限系だけです。このソルバーは複数コアでの実行機能があり LU 分解にも対応していますがあまりうまく実行できたことはありません。次に来るのが反復ソルバーです。SOLVER=ITERATIVE SCALING が選択されている場合には前処理は対角項のスケーリングに制限されます。SOLVER=ITERATIVE CHOLESKY では不完全コレスキー前処理が有効になります。コレスキー前処理によって収束性がよくなり、実行時間が短くなる可能性がありますが、この処理には行列の非ゼロ成分とおおよそ対応する量の追加記憶領域が必要になります。メモリーが足りない場合は対角スケーリングは最後の選択肢にした方がよいでしょう。反復法は完全な3次元構造体に対してはうまく動きます。例えば、半球の計算では ITERATIVE SCALING ソルバー設定の方が約9倍、また ITERATIVE CHOLESKY ソルバー設定の方が約3倍、SPOOLES よりも高速です。平板やシェルなどの2次元構造体では、効率は劇的に低下し、収束させるためにはしばしばコレスキー前処理が必要になります。薄い構造体を多用している場合のほとんどではSPOOLES(やその他の直接解法ソルバー)はうまく動きますが、反復ソルバーよりも多くの記憶領域が必要になります。PARDISO は Intel 製のプロプライエタリなソルバーです。

パラメーター DIRECT は自動インクリメントが無効であることを表します。インクリメントは、ユーザーによって2行目で指定された固定長さになります。

パラメーター MAGNETOSTATICS は定常状態だけを計算することを意味します。磁場が変化しないため、熱は発生せず、熱伝達解析は無意味です。負荷(シェル用でのコイル電流)は完全な大きさで適用されます。MAGNETOSTATICS パラメーターが無い場合には計算は時間依存するとみなされ、非定常解析が行なわれます。非定常解析はデフォルトの補間的熱伝達計算で有効になるので、材料プロパティーの温度依存性は必ず設定する必要があります。この場合にもコイル電流はデフォルトではステップ開始時の完全な大きさで適用されます。*AMPLITUDE カードを使用するとこれとは異なる負荷パターンを定義することができます。

パラメーター DELTMX を使用すると2つの連続するインクリメントでの温度変化を制限することができます。温度変化が DELTMX を超えた場合、DELTMX を DA 倍し、温度変化で割った数値でインクリメントが再度開始されます。DA のデフォルトは0.85ですが、この値は *CONTROLS キーワードで変更できます。DELTMX は非定常計算でだけ有効で、デフォルト値は 1030 です。

パラメーター TIME RESET は現在のステップ終了時の総時間が、前のステップ終了時の総時間と一致するように指定するのに使用します。前のステップがない場合は目標総時間はゼロになります。このパラメーターが指定されていない場合には現在のステップ終了時の総時間は、前のステップ終了時の総時間に現在のステップでの時間間隔を足したものになります(*HEAT TRANSFER キーワードの下の2番目のパラメーター)。つまり前のステップ終了時の時刻が10で、現在の時間間隔が1の場合には現在のステップ終了時の総時間は11になります。TIME RESET パラメーターが使用されている場合には現在のステップ開始時の総時間は9になり、現在のステップ終了時に10になります。非定常な熱伝達計算を行なう際に、まず定常的な熱伝達ステップで定常状態に達するまで計算し、その後でその状態を初期条件に非定常な熱伝達計算を始める場合などにこの機能は便利です。定常ステップ(計算の最初のステップ)で TIME RESET パラメーターをしよすれば続く非定常ステップの開始時に総時間をゼロにすることができるのです。

パラメーター TOTAL TIME AT START を使うとステップ開始時の総時間に特定の値を設定できます。

パラメーター NO HEAT TRANSFER は非定常解析で、渦電流による熱が発生しないように設定するために使用されます。ただし *TEMPERATURE カードを使用して外部温度場を定義することはできます。


1行目:

2行目:

例:

*ELECTROMAGNETICS,DIRECT
.1,1.

上記では静的ステップを定義し、そのステップの線形方程式ソルバーとしてSPOOLES(デフォルト)を選択しています。また2行目は初期時間インクリメントが0.1、総ステップ時間が1であることを表しています。さらにパラメーター DIRECT で時間インクリメントを固定しています。これによって正常に計算が進む場合には、計算は長さ0.1のインクリメント10個で構成されます。


サンプルファイル: induction1


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guido dhondt 2016-03-08