キーワードのタイプ:ステップ
このオプションを使用すると絶対温度 θ 、輻射率 ε の面の、絶対温度 θ0 の環境への輻射熱伝達を指定することができます。環境温度 θ0 はシンク温度とも呼ばれます。ユーザーの必要に応じて、空洞輻射条件によって他の見えている面の温度からシンク温度を計算することも可能です。輻射熱フラックス q は以下を満たします。
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ここで σ = 5.67 × 10-8 W/m2K4 はステファン・ボルツマン定数です。輻射率は0から1までの間の値を取ります。黒体輻射は ε=1 によって特徴づけられます。CalculiX では輻射は散乱し(表面から放出される角度には依存しない)、灰色(輻射波長に依存しない)であると仮定されています。輻射タイプのフラックスを選択するには *PHYSICAL CONSTANTS カードを使用する必要があります。このカードではユーザー単位系でのステファン・ボルツマン定数の値と絶対ゼロ値を指定します。どの面からフラックスが入射・放出されるのか指定するために面には番号が付けられます。番号は要素タイプによって変わります。
6面体要素では以下の様に面番号が付けられます(数字は節点番号)。
4面体要素の場合
4角形の平面応力要素、平面ひずみ要素、軸対称要素の場合
3角形の平面応力要素、平面ひずみ要素、軸対称要素の場合
4角形シェル要素の場合
3角形シェル要素の場合
ビーム要素の場合
一様な輻射率で特徴づけられる輻射フラックスは分布フラックスタイプのラベル Rx をつけて入力します。ここで x は面の番号です。これに続けてシンク温度と輻射率を入力します。輻射率が非一様な場合にはラベルは RxNUy という形になり、必ずユーザーサブルーチン radiate.f を設定して輻射率とシンク温度の値を指定しなければなりません。ラベルは最長17文字です。具体的に言えば y には非一様な輻射率を区別するための(最大13文字の)文字列を設定できるということです。
シンク温度がわからず、他の表面からの輻射によって計算したい場合には分布フラックスタイプのラベル RxCR を使用する必要があります(CR は Cavity Radiation に由来します)。この場合にはラベルの直後の温度は形態係数が1よりも小さい場合の環境温度と解釈されます。形態係数が1に満たない場合には輻射が環境に向かっていると考えられます。場合によっては閉じた空間での輻射を考えると便利な場合もあります。これは絶対温度(ケルビン)で負の値を環境温度として指定することで実行可能です。この時には形態係数は正確に1になります。空洞輻射の場合、シンク温度は対象となる面と他の空洞輻射面(つまりラベル RyCR の面。y は1から6までの値をとります)との相互作用に基づいて計算されます。空洞輻射ラベルが指定されていない面は形態係、輻射フラックスの計算には使われません。従って一般的には全ての要素面に対して空洞輻射条件を指定した方がいいでしょう(あるいはまったく指定しない)。輻射率が非一様な場合にはラベルは RxCRNUy となり、輻射率を指定するサブルーチン radiate.f を必ず設定する必要があります。ラベルは最長17文字です。具体的に言えば y には非一様な輻射率を区別するための(最大11文字の)文字列を設定できるということです。
オプションパラメーターは OP、AMPLITUDE、TIME DELAY、RADIATION AMPLITUDE、RADIATION TIME DELAY、ENVNODE、CAVITY です。OP は値として NEW または MOD を取ることができます。デフォルトは OP=MOD で、これは最後の摂動ステップ以降の全てのステップで種々の面に適用された輻射フラックスが維持されることを意味します。前のステップでフラックスが定義されている面に対して輻射フラックスを指定すると値が置き換わります。OP=NEW は古い輻射フラックスが全て取り除かれることを意味します。1つのステップ内に複数の *RADIATE カードが存在する場合、このパラメーターは最初の *RADIATE カードでだけ効力を持ちます。
AMPLITUDE パラメーターを使用すると振幅を指定することができ、これによってシンク温度を増減させることができます(主に非線形静解析・動解析で使用されます)。*RADIATE カードで入力されたシンク温度値は基準値と解釈され、これに(時刻に依存する)振幅値がかけられて実際の値が求められます。ステップ終了時には基準値はその時刻での実際の値で置き換えられます。明示的に振幅を再定義するか、TIME=TOTAL TIME を使用して振幅を定義しない限り、以降のステップではこの値は一定値を保ちます。TIME=TOTAL TIME を使用している場合は振幅は有効なままになります。非一様なフラックス、空洞輻射に対しては AMPLITUDE パラメーターは無視されます。節点、自由度を指定して AMPLITUDE の設定された *RADIATE カードを定義している場合には、その節点、自由度と同じステップ内で定義された古い *RADIATE カードすべてに対してその振幅が定義されることに注意してください。同様に節点、自由度を指定して AMPLITUDE の設定されていない *RADIATE カードを定義している場合には、その節点、自由度と同じステップ内で定義された古い *RADIATE カードすべてに対して振幅定義が無効化されます。同じ処理が RADIATION AMPLITUDE パラメーターに対しても適用されます。
TIME DELAY パラメーターでは AMPLITUDE パラメーターを変更できます。このため TIME DELAY では頭に AMPLITUDE 名を追加する必要があります。TIME DELAY は時間シフトで、これによって指定された AMPLITUDE 定義は正の時間方向に移動します。例えば TIME DELAY に10を指定すると時刻 t での振幅が時刻 t-10 で適用されます。TIME DELAY パラメーターは同一のキーワード・カード内で一度だけ使用できます。
RADIATION AMPLITUDE パラメーターを使用すると振幅を指定することができ、これによって境界値を増減させることができます(主に動解析で使用されます)。この場合には *RADIATE カードで入力された輻射率の値は基準値と解釈され、これに(時刻に依存する)振幅値がかけられて実際の値が求められます。ステップ終了時には基準値はその時刻での実際の値で置き換えられます。明示的に振幅を再定義するか、TIME=TOTAL TIME を使用して振幅を定義しない限り、以降のステップではこの値は一定値を保ちます。TIME=TOTAL TIME を使用している場合は振幅は有効なままになります。非一様なフラックスに対しては RADIATION AMPLITUDE パラメーターは意味を持ちません。
RADIATION DELAY パラメーターでは RADIATION AMPLITUDE パラメーターを変更できます。このため RADIATION TIME DELAY では頭に RADIATION AMPLITUDE 名を追加する必要があります。RADIATION TIME DELAY は時間シフトで、これによって指定された RADIATION AMPLITUDE 定義は正の時間方向に移動します。例えば RADIATION TIME DELAY に10を指定すると時刻 t での振幅が時刻 t-10 で適用されます。RADIATION TIME DELAY パラメーターは同一のキーワード・カード内で一度だけ使用できます。
ENVNODE オプションは一様輻射条件にだけ適用できます。このオプションでユーザーはシンク温度の代わりにシンク節点を指定できます。この場合にはシンク温度はシンク節点での温度として定義されます。
CAVITY パラメーターは閉じた空洞を分割するのに使用されます。特定の面の形態係数を計算する場合には以下の面だけが対象となります。
空洞の名前は(数字を含めて)最長3文字です。デフォルトの空洞は ' '(空の名前)です。形態係数の計算は近似的なものなので、空洞が数学的には閉じている場合でも外部からの輻射起きることがあります。これを防ぐためには面を同一の空洞に属しているものと定義し、他の面が属する空洞と分離しなければなりません。
*RADIATE に続く行で要素セットを使用する場合には、そのセットは以下のグループ{平面応力、平面ひずみ、軸対称要素}、{ビーム、トラス}、{シェル、膜}、{体積要素}を複数含んではいけないことに注意してください。
1行目:
一様で明示的な輻射条件の場合は以下の行
非一様で明示的な輻射条件の場合は以下の行
一様な輻射率、環境温度での空洞輻射条件の場合は以下の行
非一様な輻射率、環境温度での空洞輻射条件の場合は以下の行
例: *RADIATE 20,R1,273.,.5
上記では要素20の面1に対して輻射率0.5、シンク温度273で輻射フラックスを設定しています。
サンプルファイル: oneel8ra、beamhtcr