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*UNCOUPLED TEMPERATURE-DISPLACEMENT

キーワードのタイプ:ステップ

このプロシージャを使用すると 非連成の熱機械計算を行なうことができます。各インクリメントではまず最初に熱解析が行なわれ、その結果得られた温度場を境界条件として同じインクリメントの機械計算が続いて行なわれます。このため機械的変形からのフィードバックが同一インクリメント内での温度場に対しては働くことはありません。これら順次計算によって方程式系が小規模になり、高速に実行されるようなることが期待できます。さらにインクリメント内のイテレーション数は熱解析、機械解析ごとにそれぞれ決定されます。一方で連成による熱機械解析ではイテレーション数は収束が最も悪い方の解析タイプによって決定されるという違いがあります。

オプションパラメーターは SOLVER、DIRECT、ALPHA、STEADY STATE、DELTMX、EXPLICIT、TIME RESET、TOTAL TIME AT START の8つです。

SOLVER は続く方程式系を解くのに使用されるパッケージを決定します。設定できるのは以下のソルバーです。

デフォルトは「SGI、PARDISO、SPOOLES、TAUCS」の中でインストールされていて、リストで最初に来るものです。どれもインストールされていない場合は CalculiX パッケージに同梱されている反復ソルバーがデフォルトになります。

SGI ソルバーは最速ですが、プロプライエタリです。もし SGI 製のハードウェアを所有していれば科学計算パッケージも持っているはずです。このパッケージには SGI 疎系ソルバーが含まれています。SPOOLES も非常に高速ですが複数コアで実行する機能がなく、解ける系のサイズは使用する RAM メモリーのサイズによって制約を受けます。RAM が2GBの場合には250,000までの式が解けます。TAUCS も良いですが、個人的には LLT 分解でしか使用したことがありません。この解法が適用できるのは陽な有限系だけです。このソルバーは複数コアでの実行機能があり LU 分解にも対応していますがあまりうまく実行できたことはありません。次に来るのが反復ソルバーです。SOLVER=ITERATIVE SCALING が選択されている場合には前処理は対角項のスケーリングに制限されます。SOLVER=ITERATIVE CHOLESKY では不完全コレスキー前処理が有効になります。コレスキー前処理によって収束性がよくなり、実行時間が短くなる可能性がありますが、この処理には行列の非ゼロ成分とおおよそ対応する量の追加記憶領域が必要になります。メモリーが足りない場合は対角スケーリングは最後の選択肢にした方がよいでしょう。反復法は完全な3次元構造体に対してはうまく動きます。例えば、半球の計算では ITERATIVE SCALING ソルバー設定の方が約9倍、また ITERATIVE CHOLESKY ソルバー設定の方が約3倍、SPOOLES よりも高速です。平板やシェルなどの2次元構造体では、効率は劇的に低下し、収束させるためにはしばしばコレスキー前処理が必要になります。薄い構造体を多用している場合のほとんどではSPOOLES(やその他の直接解法ソルバー)はうまく動きますが、反復ソルバーよりも多くの記憶領域が必要になります。PARDISO は Intel 製のプロプライエタリなソルバーです。

パラメーター DIRECT は自動インクリメントが無効であることを表します。インクリメントは、ユーザーによって2行目で指定された固定長さになります。

パラメーター ALPHA は-1/3から0の間の引数を取ります。このパラメーターは高周波数応答の散逸を制御するもので、小さな値ほど数値減衰([53])が大きくなります。デフォルト値は-0.05です。

パラメーター STEADY STATE は定常状態だけを計算することを意味します。このパラメーターがない場合には計算は時間依存していると見なされ、非定常解析が行なわれます。非定常解析では関係する材料の比熱を設定する必要があります。

パラメーター DELTMX を使用すると連続する2インクリメントでの温度変化を制限することができます。温度変化が DELTMX を超えた場合、DELTMX を温度変化で割った値の DA 倍にしたのと等しいサイズでインクリメントが再開されます。DA のデフォルトは0.85ですが、この値は *CONTROLS キーワードを使用して変更できます。DELTMX は非定常計算でだけ有効です。デフォルト値は1030です。

パラメーター EXPLICIT は流体計算でだけ意味を持ちます。このパラメーターが存在する場合には流体計算は陽的に行なわれ、それ以外の場合は半陰的に行なわれます。連成されている構造計算は常に陰的に行なわれます。

パラメーター TIME RESET は現在のステップ終了時の総時間が、前のステップ終了時の総時間と一致するように指定するのに使用します。前のステップがない場合は目標総時間はゼロになります。このパラメーターが指定されていない場合には現在のステップ終了時の総時間は、前のステップ終了時の総時間に現在のステップでの時間間隔を足したものになります(*UNCOUPLED TEMPERATURE-DISPLACEMENT キーワードの下の2番目のパラメーター)。つまり前のステップ終了時の時刻が10で、現在の時間間隔が1の場合には現在のステップ終了時の総時間は11になります。TIME RESET パラメーターが使用されている場合には現在のステップ開始時の総時間は9になり、現在のステップ終了時に10になります。定常熱伝達ステップで定常状態を計算してから非定常、非連成な温度変位計算を行なう場合にはこれが便利な場合があります。(計算での最初のステップである)定常ステップで TIME RESET パラメーターを使用すると続く非定常ステップの開始時に総時間がゼロになります。

パラメーター TOTAL TIME AT START を使うとステップ開始時の総時間に特定の値を設定できます。


1行目:

例:

*UNCOUPLED TEMPERATURE-DISPLACEMENT
.1,1.

上記では非連成熱機械ステップを定義し、そのステップの線形方程式ソルバーとして SPOOLES(デフォルト)を設定しています。2行目は初期インクリメントが0.1、総ステップ時間が1.0であることを表しています。


サンプルファイル: thermomech2


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guido dhondt 2016-03-08