指定されたインクリメント終了時での解を見つけるためには一連の非線形方程式を解かなければいけません。これを行なうためにニュートン・ラフソン法が使用されます。つまり一連の方程式は局所線形化されて解かれるのです。解が元の非線形方程式を満たさない場合には新しい解で再度線形化が行なわれます。ある限度内で解が元の非線形方程式を満たすまで、この処理は繰り返されます。イテレーション i ごとに収束したかどうかがチェックされます。ここで以下のような量を導入してみましょう。
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ここで e は全要素の代表、ne は指定された要素に属する全ての節点、kn は指定された節点に属する場 α の全自由度であり、はイテレーション i 終了時の指定された要素・節点での指定された自由度のフラックスを意味します。今のところ、CalculiX には2種類のフラックスがあります。力学計算での力と熱計算での集中熱フラックスです。
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ここで δ はイテレーション i による変化量を意味します。
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ここでは現在のインクリメントによる変化量を意味します。力学計算では解は変位、熱計算では解は温度です。
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ここで2つの定数 c1 と c2 が登場します。c1 はフラックスの収束をチェックするために使用され、c2 は解の収束をチェックするために使用されます。これらの値はゼロフラックス条件が有効かどうかによって変わります。ゼロフラックスは以下の様に定義されます。
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ここで以下のルールが適用されます。
四角かっこの中の値はデフォルト値です。これらの値は*CONTROLSキーワード・カードを使用して変更することができます。収束と判定されるのは
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かつ、熱・熱力学計算(*HEAT TRANSFER、*COUPLED TEMPERATURE-DISPLACEMENTまたは*UNCOUPLED TEMPERATURE-DISPLACEMENT)では温度変化が DELTMX を超えず、
なおかつ、以下の条件のうちの少なくともひとつが満たされる場合です。
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収束に到達し、またインクリメントのサイズがユーザーによって固定されていない(*STATIC カード、*DYNAMIC カード、*HEAT TRANSFER カードで DIRECT パラメーターが設定されていない)場合、特定の条件下では次のインクリメントのサイズが変更されます。
イテレーション i で収束に到達しない場合、以下の処理が行なわれます。
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ここから x を決定することができます。次に
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(これは収束に到達するために必要な推定イテレーション数が IC を超えることを意味します)または i = IC の場合には、インクリメントのサイズが dθ = dθDC[0.5] に従って調整され、DIRECTパラメーターが選択されていなければインクリメントのイテレーションが再開されます。選択されている場合にはインクリメントは再開されずにイテレーションが継続されます。