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定常状態ダイナミクス

*STEADY STATE DYNAMICS キーワードによって有効化される定常状態ダイナミクス解析では、動的な高調波荷重に対する構造体の応答は最低固有モードの線形結合として仮定されます。荷重が高調波であること、定常状態の応答だけを問題にすることを除けばこれはモード動解析と非常によく似ています。固有モードは「problem.eig」(「problem」部分は構造体の名前)というファイルから取得できます。これらの固有モードは同じ入力デッキ、または先に実行された入力デッキの中にある先行するステップ(*FREQUENCY カード、または*HEAT TRANSFER,FREQUENCYカードでSTORAGE=YES)から決定されます。動的な高調波荷重は、通常は*CLOADといったキーワード・カードによる振幅や *STEADY STATE DYNAMICS カードの下で指定された周波数間隔によって定義されます。荷重振幅は *AMPLITUDE キーワード・カードを使用することで変効可能で、これは荷重係数と周波数(時間ではなく)の関係として解釈されます。モード動解析での変位境界条件は固有モードの決定で使用されるステップでの同一節点、同一方向のゼロ境界条件と一致しなければなりません。温度荷重、は内因的非線形性(材料特性は通常、温度によって変化します)があるため、このタイプの荷重は線形座屈ステップでは使用できません。温度荷重、残留応力は使用できません。こうした荷重が現れる場合は直接積分動プロシージャを使う必要があります。

荷重カード(例えば*CLOAD)でパラメーターLOAD CASE = 2とすることで 90° シフトした荷重を定義することが可能です。

周波数範囲はその上下限によって指定されます。さらにこの範囲内のデータ点数 n を定義することも可能です。指定された範囲内に固有モードがない時、この値は低い側の境界周波数、高い側の境界周波数が含まれた取得されたデータ点の総数になります。指定された範囲内にひとつ以上の固有モードがある場合には n-2 個の点が低い側の境界周波数と最低の固有周波数の間から、n-2 個が範囲内の残りの固有周波数から、 n-2 個が最高の固有周波数と高い側の境界周波数の間からとられます。さらに固有周波数もデータ点に含まれます。結果として指定された領域に m 個の固有周波数が含まれる場合には (m+1)(n-2)+m+2=nm-m+n 個のデータ点がとられることになります。ユーザーがバイアス値として1を指定した場合、固定された点(低い側の境界周波数、高い側の境界周波数、固有周波数)の間ではこれらデータ点は等間隔になります。異なるバイアス値を指定した場合にはデータ点は固定された点の周りに集まっていきます。

*MODAL DAMPING キーワード・カードを使用することで減衰を考慮することができます。CalculiX で使用できる減衰モデルはレイリー減衰です。レイリー減衰では減衰行列は問題の剛性行列と質量行列の線形結合と見なされます。これによって問題はその固有モードに従って分割され、常微分方程式になります。結果は、固有モードが有限であることによる誤差を除けば区分線形荷重と同程度に正確になります。*STEADY STATE DYNAMICS カードでのパラメーター HARMONIC=NO によって有効化される非高調波荷重では、1周期を超える荷重は高調波でなくなり、時間領域で指定されなければなりません。このためユーザーは1周期の開始時刻と終了時刻の指定し、*AMPLITUDE カードを使って個の1周期内での荷重を記述することができます。デフォルトは区間 [0.,1.] のステップ荷重です。非高調波荷重では *AMPLITUDE カードは振幅と時刻の関係を表現することに注意してください。内部的には、非高調波荷重はフーリエ級数に展開されます。ユーザーはこの展開でいくつの項を使うかを指定できます。デフォルトではこの値は20です。残りの入力は高調波荷重と同じで、周波数範囲、その範囲におけるデータ点の数、バイアス値です。上で述べた高調波荷重についてのコメントはここでも同じですが、荷重は同じ時間領域で定義されるので LOAD CASE パラメーターは無意味でデフォルトで LOAD CASE = 1 になります。

定常状態ダイナミクス解析は周期対称な構造体でも行なうことが可能です。この場合には固有モードは関連する全てのモード直径で決定される必要があります。周期的な定常状態ダイナミクス解析には3つの制限があります。

  1. 非ゼロ境界条件は使用できません。
  2. ステップ開始時の変位と速度はゼロでなければなりません。
  3. ダッシュポット要素は使用できません。

定常状態ダイナミクス計算の出力は複素数です。つまり実部と虚部からなるのです。結果、ユーザーが変位を保存すると2つの項目になります。1つ目は変位の実部で、2つ目は虚部です。これは温度や応力といった他の出力変数の全てにも当てはまります。変位、温度、応力については*NODE FILE カードの下でU、NY、Sの代わりにそれぞれPU、PNT、PHSを指定することで、これら変数を大きさと位相として出力することが可能です。ただしこれは *NODE PRINT カードでは使用できません。

1D要素、2D要素を使用しているときには特別な注意が必要になります。これらの要素は内部的には3D要素に拡張されるため、境界条件と節点への点荷重の使用時には元の節点と拡張後の対応節点を結ぶ多点拘束が作成されます。これらのMPCは剛性行列と質量行列の構造を変化させます。しかし剛性行列と質量行列は *STEADY STATE DYNAMICS ステップの前の *FREQUENCY ステップで.eigファイルに保存されます。これは初期条件処理時に質量行列が([18])、非ゼロ境界条件を考慮時に剛性行列が必要となるためです。簡単に言えば *STEADY STATE DYNAMICS ステップでは *FREQUENCY ステップで点荷重や境界条件が設定されていない節点に対して、点荷重や節点に対する非ゼロ境界条件を設定してはいけないのです。*FREQUENCY ステップでは点荷重の値や境界条件としてゼロを設定することができます。シェルへ点荷重を使用している例としてはテストパッケージのshellf.inpが挙げられます。


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guido dhondt 2016-03-08